蓬莱人形の短編官能小説(R18)
…なんというか、虚しい。
ボクの上に覆いかぶさって息を荒げている男を見ながら、最も美しいボクは心の中で一人愚痴を吐いた。
ただの粘膜の接触。体液の交換に過ぎないその行為を別に嫌っているわけではない。
相手の必死な顔を見ているとなんだか可笑しく思えて、…やはり虚しく感じてしまうのだ。
それでも躰は生理的な反応をして、意思とは関係なく高まってしまうもので、男の方も激しく盛り上がっている。
知っているのだ。この後この男がどうするのか。この男と交わっている時の虚しさはこれが原因かもしれない。
いよいよ躰は熱を帯び、来たる衝撃に準備を整えているというのに、…この男は。
(刹那)
勢いよくボクの中からこの男は出ていき、単純に反射でボクの躰は短く痙攣する。
…熱い液体を皮膚に感じる。今夜も例外ではないようだ。
「っ…この、臆病者。」
この男と交わり満たされたことはない。
…虚しさの原因は尽きない。